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ビタミンEの一日に必要な摂取量は?含有量の多い食品や過剰摂取のリスクを解説
サジー 栄養 2024.07.26
ビタミンEの一日の摂取量は、年齢によって異なりますが、5.0mg~7.0mgが目安といわれています。食品で摂取するだけではなく、サプリや健康食品などで補うことが可能です。
そこで本記事では、ビタミンEの性質や働きをはじめ、医療品やサプリで用いられるビタミンEの含有量、摂取量が足りないとどうなるのか、過剰摂取によるリスクを解説します。そのほか、ビタミンEが豊富な食品もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ビタミンEとは?
ビタミンEは、1920年代に動物の生殖に欠かせない成分として発見されたのがはじまりです。当時は、ビタミンEという名前ではなく、トコフェロールという化合物名がつけられていました。
トコフェロールは「こどもを産む力を与える、水酸基をもつ化合物」という意味を持っており、研究が進むにつれて人の発育に欠かせない微量必須栄養素として証明されています。微量必須栄養素のひとつとして証明されてからは、ビタミンEという名称がつけられました。
さらに食品に含まれるトコフェロールは、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類に分けられます。それぞれの化学構造に似た4種類の化合物があり、8種類の化合物を合わせてビタミンE同族体と呼ばれています。
ただし、8種類のビタミンE同族体で、栄養学上ビタミンEと呼ばれているのはα-トコフェロールのみです。α-トコフェロールは、人に対して効果を示すものであり、体内循環に入ることができるといわれています。
α-トコフェロールのみ、特殊な輸送系を持っています。一方で、そのほかのビタミンE同族体は、吸収されたとしても腸管で捨てられてしまうので、十分な効果が期待できないでしょう。
ビタミンEの働きとしては、抗酸化作用が代表的です。多価不飽和脂肪酸の過酸化を抑制する役割があり、多価不飽和脂肪酸から変化する過酸化脂質の生成を防ぐ効果が期待できます。
そもそも多価不飽和脂肪酸とは、リノール酸やα-リノレン酸などの必須脂肪酸、アラキドン酸やDHA、EPAなどの機能性関与成分など、いくつかの二重結合が存在する脂肪酸です。過酸化脂質とは、さまざまな病気の原因になる体の錆のようなものです。
過酸化脂質の生成を防ぐ効果が期待できるビタミンEは、動脈硬化や血栓、血圧低下、悪玉コレステロールなどを防止したり減少させたりする働きが見られます。加齢が原因で発症しやすい病気も予防できる可能性があることから、若返りのビタミンと呼ばれています。 また、ビタミンEは、肌の潤いを保つためのバリア機能を安定させる働きもあり、紫外線などの外的刺激から肌を守る効果も期待できるでしょう。ビタミンEには血行促進作用があるので、新陳代謝を高めることで、メラニンの排出を促進させる効果も期待できます。
ビタミンEが足りないとどうなる?
ビタミンEは、さまざまな組織の細胞膜に分布しているので、摂取量が少ないことで欠乏症が起こるというケースは少ないです。さまざまな食品から摂取できる栄養素なので、通常の規則正しい食生活を送っていれば心配ないでしょう。
しかし、家族性ビタミンE単独欠損症などの遺伝性疾患、脂肪吸収障害などがあると、欠乏症を発症する恐れがあります。そのほか、極端に偏食であったり、高齢やダイエットなどで少食であったりすると、ビタミンE不足により体に不調が現れる可能性が高いです。
ビタミンEの摂取量が極端に足らないと、抗酸化作用の効果が弱まってしまうでしょう。その結果、動脈硬化や生活習慣病を発症しやすかったり、肌のバリア機能が低下してシミやしわなどの肌トラブルが起こりやすくなったりします。
また、ビタミンEに見られる血行促進の働きが弱まると、血行不良により頭痛や肩こりが悪化しやすくなるでしょう。そのほか、生理痛や関節痛、腰痛、冷え性、循環器疾患の原因にもなる可能性があるといえます。
成人の場合は、多量のビタミンEを蓄えているケースが多いので、ビタミンEの吸収不良で起こるビタミンE不足では歩行困難や筋力低下などの症状が現れにくいです。しかし、小児の場合は、反射の遅延や位置覚の喪失などの症状も見られるケースがあります。
とくに、早産児でビタミンE欠乏症を発症すれば、赤血球が破壊される溶血性貧血を引き起こし、深刻な病気にかかってしまうリスクがあります。筋力低下だけではなく、脳内出血や未熟児網膜症などの原因にもなると考えられるでしょう。
ビタミンEの一日の摂取量
通常の食事を摂っていれば、ビタミンE不足になることは考えにくいです。しかし、きちんと栄養を摂れているか一日の摂取量を確認することで、あらためて自分の食生活を見直すきっかけとなるでしょう。
ここでは、ビタミンEの一日の摂取量をご紹介します。そのほか、医療品やサプリでどれくらいのビタミンEを摂取できるか、ビタミンEを過剰摂取するとどうなるかもお伝えします。
目安は一日に5.0~7.0mg
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」 によると、ビタミンEの一日の摂取量は、5.0mg~7.0mg が目安です。しかし、年齢や性別によって摂取量の目安が異なるので、自分に当てはまる摂取量の目安をチェックしましょう。
ここでいう摂取量の目安は、すべての人に摂取不足によるリスクが起こる可能性が極めて低く、習慣的に摂取しても問題ない量と定義されています。一方で、過剰摂取によりリスクが起こる可能性が極めて低い量は、耐容上限量といいます。
男性の摂取量の目安は、18歳〜29歳が6.0mg、30歳〜49歳が6.0mg、50歳〜64歳が7.0mg、65歳〜74歳が7.0mg、75歳以上が6.5mg です。50歳〜74歳の摂取量の目安がピークであり、一日に7.0mgを目安に摂取するとよいでしょう。
女性の摂取量の目安は、18歳〜29歳が5.0mg、30歳〜49歳が5.5mg、50歳〜64歳が6.0mg、65歳〜74歳が6.5mg、75歳以上が6.5mg です。男性とは異なり65歳以上の摂取量の目安がピークですが、年齢によっては男性よりも摂取量の目安が少ないです。
また、女性の場合でも、妊婦なら6.5mg、授乳婦なら7.0mg が摂取量の目安となります。出産後の授乳期間は、男性のピーク量に値する7.0mgが摂取量となります。
医療品・サプリで用いられるビタミンEの含有量
ビタミンEは、食品だけではなく、医療品やサプリからも補うことが可能です。ただし、医療品やサプリによっては、ビタミンEの含有量が異なります。
たとえば、マルチビタミンやミネラルサプリメントの場合は、一般的に20mgほど といわれています。マルチビタミンのように、ビタミンE以外の栄養素も含まれていると、1粒あたりのビタミンEの含有量が少なくなる傾向にあるでしょう。
ビタミンEのみを摂取できるサプリの場合は、1粒につき67mg〜670mgほど のビタミンEが含まれているものがあります。ビタミンEに特化したサプリを取り入れる際、耐容上限量を越さないように注意する必要があるでしょう。
また、ビタミンEといっても、食物由来の天然のビタミンEと、人工の合成型ビタミンEに分けられます。天然のビタミンEの場合は、製品のラベルに「d-α-トコフェロール」と記載されています。
一般的には、合成型ビタミンEよりも、天然のビタミンEのほうが効力が高いでしょう。たとえば、合成型ビタミンEを100mg摂取するよりも、天然のビタミンEを80mg摂取したほうがビタミンEならではの効果をより感じられる可能性が高いです。
ビタミンEを過剰摂取するリスク
ビタミンEは、さまざまな食品から摂取できる栄養素ですが、体内に蓄積しにくい特徴を持っています。そのため、通常の食生活で過剰摂取となるケースは少ないです。
しかし、医療品やサプリなどで栄養素を補おうとし、ビタミンEを過剰に摂取してしまうケースがあります。ビタミンEの過剰摂取は、骨量を減らしたり、肝障害のリスクを高めたりと、さまざまな影響を与えるおそれがあります。
ビタミンEの過剰摂取により骨量が減ると、骨粗鬆症のリスクが高まってしまうでしょう。長期的にビタミンEの過剰摂取が続いてしまうと、肝障害を引き起こす原因につながる可能性が高まります。
ビタミンEを過剰摂取しているかを判断する際、耐容上限量を参考にするとよいでしょう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」 によると、健康な成人男性が1日に800mgのビタミンEを28日間摂取し続けても問題がない と報告されています。
ただし、乳児の場合は、耐容上限量に関するデータがほとんどないといわれています。さらに、母乳や離乳食でビタミンEの過剰摂取になるとは考えられにくいので、乳児のビタミンEの耐容上限量は設定されていません。
ビタミンEが豊富な食品
ビタミンEは、主に食品から摂取することがおすすめです。食品では摂取できない量をサプリなどで補うと考えておくとよいでしょう。ここでは、ビタミンEが豊富に含まれている食品をカテゴリ別にご紹介します。
ここでご紹介する食品は、基本的に100gあたりに含まれるビタミンEの量を記載しています。生の食品の場合は、可食部100gあたりのビタミンEの含有量を記載しているので、把握したうえで参考にしてください。
野菜・果物
ビタミンEを野菜や果物から摂取するなら、緑黄色野菜がおすすめです。とくに、モロヘイヤは100gあたり6.5mg と、多くのビタミンEが含まれています。
ついで、西洋かぼちゃが100gあたり4.9mg、赤ピーマンが100gあたり4.3mg、しそが100gあたり3.9mg、アボカドが100gあたり3.3mg、ブロッコリーが100gあたり3.0mg です。季節問わずスーパーなどで販売されているものばかりなので、手に入りやすいでしょう。
そのほか、ほうれん草には100gあたり2.1mg、さつまいも(皮なし)には100gあたり1.5mg のビタミンEが含まれています。キウイフルーツにもビタミンEが豊富に含まれていますが、黄肉種が100gあたり2.5mg、緑肉種が1.3mg と種類によって含有量が異なります。
肉・魚
ビタミンEは肉類や魚介類などの動物性食品にも多く含まれているので、栄養不足が気になる方におすすめです。なかでも、筋子は100gあたり11.0mg と、ビタミンEが豊富に含まれています。
ついで、油漬けのツナ缶が100gあたり8.3mg、焼きたらこが100gあたり8.1mg、生の養殖うなぎが100gあたり7.4mg、卵黄(鶏卵)が100gあたり4.5mg、生のほたるいかが100gあたり4.3gm です。手軽に購入できる卵黄にも、ビタミンEが多く含まれています。
そのほか、生の銀鮭が100gあたり1.8mg、全卵(鶏卵)が100gあたり1.3mg、生の鶏もも肉が100gあたり0.7gm です。肉類と魚介類のビタミンEの含有量を比べると、魚介類のほうが含有量が多い傾向にあるといえます。
ナッツ類
ビタミンEだけではなく、脂質も一緒に摂って効率よくビタミンEを摂取したい場合は、ナッツ類がおすすめです。ナッツ類には脂質も豊富に含まれており、脂溶性であるビタミンEの補給をサポートする効果が期待できます。
ナッツ類のなかでも、アーモンド(いり)が100gあたり29.0mg と、ビタミンEが豊富に含まれています。ついで、ヘーゼルナッツ(フライ)が100gあたり18.0mg、ひまわりの種(フライ)が100gあたり12.0gm、落花生(小粒種・いり)が100gあたり11.0mg です。
そのほか、大豆(乾燥)には100gあたり2.3mg、きなこには100gあたり1.7mg、くるみ(いり)には100gあたり1.2mg のビタミンEが含まれています。効率よくビタミンEを補給できるナッツ類ですが、カロリーが高いので1日の摂取量を考慮する必要があるでしょう。
油脂類
自炊する場合にほとんどの方が使っている油ですが、油脂類にもビタミンEが含まれています。とくに、ひまわり油は100gあたり39.0mg のビタミンEが含まれており、油脂類のなかで群を抜いてビタミンEの含有量が多いです。
ついで、紅花油が100gあたり27.0mg、こめ油が100gあたり26.0mg、なたね油が100gあたり15.0mg、オリーブ油が100gあたり7.4mg、有塩バターが100gあたり1.5mg、ごま油が100gあたり0.4mg です。
100gあたりの含有量を見ると、ビタミンEが豊富に含まれていることがわかります。しかし、油脂類でビタミンEを補おうとすると、1日の摂取カロリーの基準を上回ってしまうので、ほかの食品と一緒にバランスよく摂取することがポイントです。
あくまでバランスよく、重要な栄養素を補給していくことが重要です。また、健康・美容のためにはビタミンEだけではなく、その他の栄養素も必要になります。とくにビタミンCは有用な作用を持ち、肌を健康に保つために欠かせない栄養素です。ビタミンCについての記事もありますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
ビタミンEは、摂取量が不足すると生活習慣病や肌トラブルなど体に不調が現れるおそれがあります。しかし、さまざまな食品から摂取できる栄養素なので、毎日栄養バランスのよい食生活をしていれば、摂取量が不足することは防げるでしょう。
また、サプリなどでも補える栄養素だからこそ、ビタミンEの過剰摂取にも注意が必要です。食品で補うように心がけ、不足した量のみをサプリなどで補うとよいでしょう。
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