サジーコラム
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ストレスで膀胱炎に?女性特有の原因と繰り返さないための体質ケア
栄養 健康 2026.01.14

トイレに行く回数が増えたり、排尿時にツーンとした痛みを感じたりして、膀胱炎の症状に悩んでいませんか。実はその背景には、ストレスや疲労による免疫力の低下が関与しています。
とくに女性は、身体の構造上、膀胱炎になりやすいもの。この記事では、ストレスが膀胱炎を引き起こすメカニズムと主な症状、治療法、そして繰り返さないための体質ケアについて詳しく解説します。

ストレスが膀胱炎の原因に?女性が知るべき免疫力低下のメカニズム
膀胱炎は、膀胱の中で細菌が繁殖して起こる病気です。直接の原因は大腸菌などの細菌ですが、細菌が増えやすい状態を作ってしまうという意味では、ストレスや疲労も大きな要因のひとつです。
女性の約5割が一度は膀胱炎を経験するといわれています。その理由には、女性特有の身体構造が関係していますが、実は最も大きな要因として、ストレスや疲労が免疫力に与える影響が非常に大きいということを知っている人は少ないかもしれません。
女性が膀胱炎になりやすい理由
女性がとくに膀胱炎を起こしやすい背景には、女性特有の身体の作りがあります。女性の尿道は男性よりも長さが数cm ほど短く、尿道口と肛門も近い位置に並んでいるため、大腸菌が膀胱の中まで到達しやすい作りになっているのです。
健康な体には、外部から入り込んだ細菌を尿で排出する仕組みが備わっています。しかし、ストレスや疲労で免疫力が低下すると、防衛機能が働かず、細菌に対する抵抗力が落ちて膀胱炎を引き起こしやすくなります。
ストレスホルモンによる抵抗力の低下
ストレスを感じると、身体はコルチゾールを分泌します。このホルモンは血圧や血糖値を上げ、免疫反応に関与する重要な役割を担います。
ところが慢性的なストレス状態が続くと、コルチゾールの分泌量やタイミングが乱れてしまいます。その結果、免疫機能のバランスが崩れ、身体全体の免疫力が低下します。
免疫力が落ちると、膀胱の中に入り込んだ細菌を追い払う力が弱くなり、膀胱炎を起こしやすくなるのです。
自律神経の乱れが招く防衛機能の弱まり
自律神経は、呼吸や心拍、血圧、体温、排泄などを自動的に調整する重要な神経です。活動時に働く交感神経と休息時に働く副交感神経の2つがあり、このバランスが保たれることで、身体は安定した状態を維持できます。
しかし、ストレスがかかると以下のような影響があります。
- ストレスがかかると交感神経が優位になり、バランスが崩れる
- 自律神経の乱れにより、白血球の働きが乱れ、免疫力が低下する
- 自律神経の乱れでIgAの濃度が低下
IgAは全身の粘膜表面で、ウイルスや細菌から粘膜を守る役割を担っています。膀胱も粘膜でおおわれているため、ストレスによってIgAの働きが弱まると、膀胱を守るバリア機能も低下してしまいます。
多忙な生活習慣が引き起こす発症のリスク
慢性的なストレスが続くと、日常の行動にも影響が出ます。睡眠不足や栄養バランスの乱れ、過度なアルコール摂取が重なると、免疫力は一段と低下してしまいます。
忙しくてトイレを我慢したり、水分摂取が減ったりすると、膀胱炎のリスクを高めます。尿には細菌を洗い流す自浄作用がありますが、トイレを我慢すると膀胱に尿が溜まる時間が長くなり、細菌が繁殖しやすい状態になります。水分摂取が少なければ尿量も減り、細菌を外に排出する力も弱まります。
このように、ストレスが続く生活習慣が膀胱炎を引き起こす要因となります。

膀胱炎の具体的な症状
膀胱炎の症状はさまざまで、軽度から重度までありますが、最も見逃してはいけないのは尿の濁りや血尿です。これらは膀胱炎が進行しているサインであり、早期の対応が必要です。
具体的には、以下の症状が現れます。
- 頻尿:トイレの回数が増える
- 排尿痛:排尿時に痛みを感じる
- 残尿感・下腹部の痛み:尿が残っている感じや下腹部の鈍い痛み
頻尿
膀胱炎の初期症状のひとつが頻尿です。通常、日中の排尿回数は5〜7回ですが、膀胱炎になると1時間に何度もトイレへ行きたくなります。
これは膀胱の粘膜に炎症が起きて過敏になり、少量の尿でも強い尿意を感じるようになるためです。実際に出る尿の量は少なく、何度もトイレに行くことが続き、夜間も尿意で目が覚めてしまい睡眠の質が低下することもあります。
排尿痛
排尿時に感じる痛みも膀胱炎の典型的な症状です。「ツーンとする」「ヒリヒリする」「ジンジンする」など痛みの感じ方は人それぞれですが、とくに排尿の終わり際に強い痛みを感じることが多いです。
膀胱に炎症があると、粘膜が尿に触れるたびに刺激され、痛みを感じます。排尿のたびに痛みがあるとトイレに行くことが憂うつになり、つい我慢してしまうこともあるかもしれません。しかし、トイレを我慢すると症状がさらに悪化する可能性があるため、注意が必要です。
残尿感・下腹部の痛み
排尿後に「まだ尿が残っている感じがする」といった残尿感も、膀胱炎によく見られる症状です。実際にはほとんど尿が残っていないのに、膀胱の炎症によって「出し切れていない」という不快感が続きます。
また、下腹部に鈍い痛みや重い感じがすることもあります。膀胱のあたりを押すと痛みや違和感があり、膀胱炎による炎症が原因かもしれません。
尿の濁り・血尿
健康な尿は透明感のある淡い黄色ですが、膀胱炎になると白く濁ったり血が混じったりすることがあります。
尿の濁りは、炎症で増えた白血球や細菌、剥がれた粘膜細胞などが混ざっているためです。血尿は炎症で膀胱の粘膜が傷つき血管が損傷することで起こります。肉眼でわかるほど赤い尿が出る場合もあれば、検査で初めて見つかる程度のわずかな血尿にとどまる場合もあります。
尿の濁りや血尿は、膀胱炎がある程度進行しているサインです。こうした症状が見られたときは、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

膀胱炎と一口にいっても、いくつかの種類があります。症状や原因によって対処法も変わるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 急性単純性膀胱炎(急性膀胱炎) | 最も一般的な膀胱炎 |
| 慢性膀胱炎 | 再発を繰り返すことも |
| 間質性膀胱炎 | 細菌感染がない場合でも膀胱に炎症が起きる |
| 出血性膀胱炎 | 血尿が出る |
| 放射性膀胱炎 | 放射線治療後に発症 |
| 腎盂腎炎 | 膀胱炎を放置した結果、細菌が腎臓に到達し、高熱や腰痛などの全身症状が現れる |
急性単純性膀胱炎(急性膀胱炎)
最も一般的なのが、急性単純性膀胱炎です。女性に起こる膀胱炎のほとんどがこのタイプで、その原因の約80% を大腸菌による感染が占めています。残りはブドウ球菌やセラチア菌などが原因になります。
急性単純性膀胱炎は、基礎疾患や持病のない健康な女性に前触れなく起こることが特徴です。適切な治療を受ければ数日で症状が改善することが多く、予後も良好です。
ただし、放置すると慢性化したり腎盂腎炎に進行したりする可能性があるため、早めに対処することが重要です。
慢性膀胱炎
急性膀胱炎がすっきり治りきらずに何度も再発したり、症状が長く続いている場合、その状態を慢性膀胱炎と呼びます。糖尿病などの基礎疾患がある場合や、免疫力の低下が続いている場合に発症しやすくなります。
慢性膀胱炎は症状が比較的軽いため「少し調子が悪いだけ」と見過ごされがちですが、放置すると完治が難しくなります。根本的な原因を特定し、生活習慣の見直しとあわせて治療を進めることが大切です。
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は、細菌感染がないにもかかわらず膀胱に炎症が起こる疾患です。膀胱の粘膜よりも深い層である間質に炎症が生じ、膀胱の容量が小さくなることで、尿が溜まると痛みを感じるという特有の症状が現れます。
原因はまだ完全には解明されていませんが、ストレスが症状を悪化させる要因のひとつといわれています。通常の急性膀胱炎とは治療法が異なるため、専門医による診断が必要です。
出血性膀胱炎
出血性膀胱炎は、膀胱の粘膜に強い炎症が起こり、肉眼ではっきりわかる血尿が特徴の膀胱炎です。原因としてはウイルス感染や薬剤、放射線治療などが挙げられます。血尿の量が多いときは、早めに医療機関を受診することが大切です。
放射性膀胱炎
放射性膀胱炎は、骨盤内の臓器(子宮、前立腺、直腸など)に対する放射線治療の副作用として起こる膀胱炎です。治療後すぐに症状が出る場合もあれば、数か月から数年経ってから症状が現れることもあります。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂腎炎は、膀胱炎が進行した結果として発症することがあります。女性は男性に比べて、尿道が短く、膣に細菌が定着しやすいため、尿道口から大腸菌などの細菌が侵入しやすいことが特徴です。
そのため、女性は男性よりも尿路感染症を起こしやすくなります。膀胱に細菌が侵入し膀胱炎を引き起こした後、細菌が尿管をさかのぼって腎臓に達すると腎盂腎炎が発症します。
腎盂腎炎では、膀胱炎の症状(頻尿、排尿痛、残尿感、下腹部痛など)に加えて、発熱、全身倦怠感、腎周囲の腰や背部の強い痛みが現れることがあります。
重症化すると入院治療が必要になることもあるため、膀胱炎の症状に加えて発熱や背部痛がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
出典:日本泌尿器科学会「排尿症状を伴う発熱がある」(https://www.urol.or.jp/public/symptom/22.html)
膀胱炎の治し方
膀胱炎は、適切に対処すれば比較的早く改善しやすい病気だといえます。以下は、医療機関での治療と自宅で行えるセルフケアです。
- 医療機関で適切な治療を受ける
- こまめに水分摂取する
- トイレを我慢しない
医療機関で適切な治療を受ける
膀胱炎の症状が現れたら、泌尿器科や内科、婦人科などの医療機関を受診してください。診察では尿検査を行い、尿中の細菌や白血球の数を調べて、膀胱炎かどうかを確認します。
- 医療機関を受診
- 診察と尿検査
- 細菌感染が確認された場合、抗生物質が処方される
- 抗生物質の服用開始
- 服用開始から2〜3日で症状が改善することが多い
細菌感染が原因の急性単純性膀胱炎であれば、抗生物質が処方されます。多くの場合、服用開始から2〜3日 で症状が改善しますが、ここで注意したいのは、症状がなくなっても自己判断で服用を中止しないことです。
抗生物質は、医師の指示通りに飲み切ることが非常に重要です。途中で服用をやめてしまうと、体内に残った細菌が再び増殖し、再発のリスクが高まります。
また、抗生物質に対する耐性菌が生まれる可能性もあるため、必ず処方された期間は服用を続けてください。
こまめに水分摂取する
水分をしっかり摂ることは、膀胱炎の改善と予防に効果的です。尿量が増えることで、膀胱内の細菌を洗い流す自浄作用が高まります。
目安としては、1日に1.5〜2L 程度の水分を摂るとよいです。ただし、カフェインやアルコールは利尿作用がある一方で膀胱を刺激するおそれがあるため、水や白湯、ノンカフェインのお茶などを選ぶことをおすすめします。
トイレを我慢しない
トイレを我慢すると膀胱に尿が長時間溜まり、細菌が繁殖しやすい状態になります。3〜4時間 を目安に、尿意を感じたら早めにトイレに行く習慣をつけましょう。
とくに、仕事や家事などで忙しいと我慢しがちですが、トイレを後回しにしないことが大切です。また、性行為の後は膀胱内に細菌が侵入しやすくなるため、できるだけ早く排尿して細菌を体外に排出することも予防につながります。
ストレスによる膀胱炎のループを脱するために
膀胱炎を繰り返さないためには、一時的な治療だけでなく、体質改善が重要です。ストレスをゼロにすることは難しくても、生活習慣を見直して免疫力を高めることで、膀胱炎になりにくい身体を作れます。
質の高い睡眠を取る
睡眠は、免疫力を維持するために欠かせない要素です。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量は、睡眠中にふだんの10分の1 程度まで減少します。十分な睡眠を取ることで副腎を休ませ、コルチゾールの分泌リズムを整えられます。
また、眠っている間は副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が下がって身体がリラックスした状態になります。この働きによって疲労回復が進み、日中の交感神経もバランスよく働くようになります。
質の高い睡眠をとるには、以下のポイントが重要です。
- 暗く静かな環境
- 就寝2時間前のブルーライト回避
- 朝の太陽光を浴びる
- 規則正しい睡眠時間
- 快適な寝室の温度
できるところから少しずつ取り入れて、自分に合った睡眠ルーティンを作っていきましょう。
軽い運動を習慣化する
30分 程度の散歩やウォーキングといった軽い有酸素運動は、コルチゾールの分泌リズムを整えるのに効果的です。
運動中はいったんコルチゾールが増えますが、終わると分泌が減少して正常な値に戻ろうとします。このサイクルを繰り返すことで、乱れていた分泌リズムが整いやすくなります。
さらに、運動には自律神経のバランスを整える働きもあります。心拍数が上がり血流がよくなることで、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになりやすくなります。朝の散歩であれば、太陽光を浴びることで体内時計も整い、睡眠の質の向上にもつながります。
運動に抵抗がある方は、階段を使う、ラジオ体操をする、朝のストレッチなど、日常生活に少しずつ取り入れてみてください。
栄養バランスを見直す
健康力を維持するためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。とくに、多くの人が不足しがちな栄養素のひとつが鉄分です。
サジーワンが2025年11月〜12月に実施した調査では「鉄分を意識的に摂取していますか」という質問に対して「あまり意識していない」が37.6%、「全く意識していない」が38.0%となり、合計75.6%の人が鉄分摂取を意識できていないことが明らかになりました。
まとめ
膀胱炎のリスクが高まる原因のひとつは、ストレスが免疫力を低下させてしまうこと。
とくに女性は身体の構造上、膀胱炎にかかりやすい傾向があります。さらに、ストレスや自律神経の乱れ、栄養の偏りなどが重なり、つらい症状に悩まされている方もいるでしょう。
もしもそのお悩みが続くようなら、今すぐに対策を取り入れることが大切です。医療機関での適切な治療はもちろん、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。