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中性脂肪を減らす飲み物とは?注目すべき成分・選び方を解説
サジー 栄養 2024.09.10

中性脂肪は糖質や脂質の多い食生活によって増えやすく、食事や生活習慣に気をつければ減らせる可能性があります。この記事では、中性脂肪を減らすのにおすすめの飲み物や、中性脂肪の抑制に効果的な成分をご紹介しています。
中性脂肪を何とかしたい方や、飲み物で手軽に中性脂肪対策をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
中性脂肪を減らす飲み物の選び方
中性脂肪を減らしたい方は、飲み物の選び方に注目してみましょう。市販の飲み物には、成分表示の欄に配合成分が記載されています。ここでは中性脂肪の抑制が期待できる成分を紹介するので、成分表示を見るときの参考にしてください。
ポリフェノールを含む飲み物
ポリフェノールは、自然界の植物が持っている抗酸化作用の強い成分です。動脈硬化の予防のほか、血中の中性脂肪を減らす効果も期待できます。
ポリフェノールにはさまざまな種類があり、飲み物に含まれる成分の代表的なものは緑茶の苦渋味成分であるカテキンや、コーヒーポリフェノールと呼ばれるクロロゲン酸です。赤ワインにはアントシアニンというポリフェノールが含まれ、ココアにはカカオポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールは水に溶けやすく、摂取してから短時間で作用が現れますが、その効果は長く続かないため日常的に摂取する必要がある成分です。
β-コングリシニンを含む飲み物
β-コングリシニンという成分には、血中の中性脂肪濃度を下げる効果があるといわれています。β-コングリシニンは、大豆タンパク質を構成する成分のひとつです。
β-コングリシニンを血中中性脂肪の濃度が高めの人に摂取してもらう調査では、β-コングリシニンを1日5g摂った対象者の中性脂肪濃度が低下するという結果が得られました。β-コングリシニンを含む飲み物は、大豆を原料とする豆乳です。
特定保健用食品・機能性表示食品
特定保健用食品や機能性表示食品にも、中性脂肪を減らすためにおすすめの成分が含まれている製品があります。中性脂肪の気になる人が積極的に摂りたい成分をチェックしてみましょう。
ウーロン茶重合ポリフェノール
ウーロン茶には、ウーロン茶重合ポリフェノールが含まれています。緑茶にはカテキンが含まれますが、ウーロン茶は緑茶の茶葉を半発酵させてつくられるもので、半発酵の過程で複数のカテキンが結合しウーロン茶重合ポリフェノールを形成するのが特徴です。
ウーロン茶重合ポリフェノールには、摂取した食べ物からの脂肪の吸収を抑制して体外への排出を促す作用があり、食後の血中中性脂肪が増えるのを抑える効果が期待できます。ウーロン茶重合ポリフェノールは、黒ウーロン茶に多く含まれる成分です。
DHA・EPA
DHA・EPAは、青魚などの魚介類に多く含まれる高度不飽和脂肪酸です。DHAはドコサヘキサエン酸、EPAはエイコサペンタエン酸という正式名称を持っています。
DHAとEPAには中性脂肪を下げる効果があることが分かっていますが、人の体内でつくるのは難しい成分です。飲み物からDHA・EPAを摂りたい場合は、DHA・EPAが配合された特定保健用食品または機能性表示食品のドリンクを飲むとよいでしょう。
モノグルコシルヘスペリジン
モノグルコシルヘスペリジンは、オレンジやみかんなどの柑橘類の皮に含まれるポリフェノールです。モノグルコシルヘスペリジンは、食べ物から摂った糖が脂肪酸に変わるのを抑制する作用に加え、糖からつくられた脂肪酸の分解を促す作用があります。
脂肪酸はエネルギーとして使われなかった分が中性脂肪になるため、モノグルコシルヘスペリジンの作用によって血中中性脂肪を減らす効果が期待できるでしょう。モノグルコシルヘスペリジンを配合した特定保健用食品・機能性表示食品には、黒酢ドリンクや緑茶などの飲み物があります。
そもそも中性脂肪とは?
中性脂肪を減らしたい場合、まずは中性脂肪がどんなものか知っておく必要があります。中性脂肪の特性や、中性脂肪の増加が体にもたらす影響について理解しましょう。
中性脂肪は脂質の一種
中性脂肪はもともと人の体内に存在し、体内の脂質は大半が中性脂肪で構成されています。また、肉や魚に含まれる脂質や、食用油の脂質も中性脂肪です。
中性脂肪は、グリセリンと3つの脂肪酸が結合していることから、トリグリセライドと呼ばれています。食品から摂取した中性脂肪は体内でエネルギー源として活用されるため、体にとって重要な成分です。
そのほかに、脂溶性ビタミンの吸収を高めるなどのはたらきもあります。中性脂肪は体内でも合成されますが、その原料は糖質です。糖質とは炭水化物を指し、ごはんや麺類、パンなどの炭水化物を多く摂ると体内の中性脂肪は増加します。
中性脂肪が増えるとどうなる?
体内で増えすぎた中性脂肪は、エネルギー源として使われなかった分が体脂肪となって、皮下組織や内装周辺に蓄えられます。体脂肪が増えることで肥満になりやすいほか、血中に中性脂肪が多い状態が続くと血管が傷ついて硬くなり、動脈硬化につながる可能性が高まります。
動脈硬化は心筋梗塞などのリスクを高めるといわれているため、注意が必要です。中性脂肪を減らしたい方は、中性脂肪を低下させる成分を積極的に摂るようにしましょう。
中性脂肪の抑制が期待できる成分としては、前述したようなポリフェノールやDHA・EPAに加えて、難消化性デキストリンもあげられます。難消化性デキストリンは、水溶性食物繊維の一種です。
とうもろこしなどのデンプンから生成され、食品からの脂肪の吸収を遅くする作用があるといわれています。食生活の欧米化による食物繊維不足を補うためにさまざまな食品に配合されていて、特定保健用食品の関与成分として認められた成分でもあります。
中性脂肪が増えやすい人の特徴
中性脂肪は、生活習慣や食生活によって増えやすくなる場合があります。どのような生活を続けると中性脂肪が多くなるのか、具体的に解説します。
あまり運動しない
中性脂肪は体内でエネルギー源として消費されますが、運動不足だとエネルギー消費量が少ないため、中性脂肪が過剰な状態に傾きます。それに加えて、運動する習慣がないと筋肉量が低下して、基礎代謝が下がることで脂肪燃焼量が減り、中性脂肪の増加を招いてしまうでしょう。
お酒をよく飲む
アルコールの摂りすぎは、中性脂肪の増加につながる要因のひとつです。お酒から摂取したアルコールは肝臓で代謝されますが、アルコールを分解する過程で中性脂肪の合成を促す酵素が生成されます。
そのため、アルコールをたくさん摂ると、結果的に体内の中性脂肪を増やしてしまうでしょう。また、適量の飲酒でも、おつまみとして食べた糖質の多い食品によって中性脂肪が増えてしまう場合があります。
主食の量が多い
ごはんや麺類、パンなどの炭水化物を中心とした食事は、中性脂肪の増加を招きます。炭水化物に含まれる糖質は重要なエネルギー源ですが、エネルギーとして使われない分は中性脂肪として体内に残ってしまうため、糖質過剰にならないように気をつけましょう。
丼だけ、麺類だけの食事は手軽にお腹を満たせる一方、炭水化物がメインで糖質を多く摂ることにつながります。主食だけでなく、主菜や副菜を取り入れたメニューを心がけ、食事の栄養バランスを整えましょう。
主菜とは、肉や魚、卵、大豆製品などタンパク質が含まれる食材を使った料理です。副菜は野菜やきのこ、海藻類を使った料理で、ビタミンやミネラルを多く摂取できます。
肉の脂や乳脂肪が多い
脂質は体のエネルギー源であり、細胞膜などの構成成分としても重要な役割を果たしていますが、脂質の摂りすぎは中性脂肪が増加する原因になります。脂質をまったく摂らないのがよいというわけではなく、健康を維持するためには適度な脂質の摂取が必要です。
とくに、体内で合成できない脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれ、食事をとおして摂取することが求められます。それに対して、肉の脂やバターなどに含まれる乳脂肪は飽和脂肪酸と呼ばれ、摂りすぎると中性脂肪の増加を招くため注意してください。
甘いものをよく食べる
ごはんなどの主食と同様に、砂糖が入った甘いお菓子も糖質を多く含むため、摂りすぎると中性脂肪が増える原因になります。甘いものを食べると糖質は小腸でブドウ糖に分解され、ブドウ糖は小腸から血中へ吸収されます。
血中のブドウ糖濃度が上がることは血糖値が上昇することを意味し、このときインスリンの作用でブドウ糖が中性脂肪に変わるのです。砂糖はチョコレートやクッキーなどの甘いお菓子だけでなく、清涼飲料水や炭酸飲料、甘いコーヒーにも含まれます。
甘い食べ物や飲み物を日常的に摂っている方は、糖質の摂りすぎによる中性脂肪の増加に注意してください。
中性脂肪を増やさない方法
健康診断で中性脂肪が多いと指摘された方や、中性脂肪が気になる方は、生活習慣や食習慣を見直すことで中性脂肪を抑制できる可能性があります。中性脂肪を増やさないためのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
運動習慣を身につける
中性脂肪を抑えるポイントのひとつは、日常的に運動をおこなうことです。適度な運動をすることで、中性脂肪を減らす効果が期待できます。中性脂肪を減らす目的で体を動かすなら、有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動の種類としては、ウォーキングや歩く程度の速さのジョギング、エアロビクス、水泳、サイクリングなどがあげられます。部分的に小さな筋肉を動かすというよりは、大きな筋肉をしっかり動かせるような運動が効果的です。
運動は1日30分以上を目安として、できるだけ毎日おこなうようにしましょう。1回の運動で中性脂肪が劇的に減ることはなく、数か月以上の長期にわたって運動を続けることで効果が得られます。
1回30分の運動がきつい場合は、10分間の有酸素運動を1日3回おこなっても、同様の効果があるとされています。運動に慣れていない方は、自転車での移動や部屋の掃除など、日常生活でかんたんにできる身体活動から始めてみてはいかがでしょうか。
メイン料理を肉から魚に
魚に含まれるDHAやEPAは多価不飽和脂肪酸と呼ばれ、血中の中性脂肪が増えるのを抑える作用を持っています。DHAやEPAは、サバやサンマ、ブリ、イワシといった青魚に多く含まれているため、日々のメイン料理を肉から青魚に変えることで中性脂肪の抑制が期待できるでしょう。
魚を調理する手間を省きたい場合は、サバの缶詰などを活用すると、手軽にDHA・EPAを摂取できます。また、DHAやEPAは調理方法によって減ってしまう可能性があり、調理のやり方にも工夫が必要です。
青魚に含まれるDHAやEPAは調理過程で流れ出てしまうため、揚げ調理をすると揚げ油にDHAやEPAが移り、魚の身に残るDHA・EPAは少なくなります。魚焼きグリルやフライパンで焼いた場合も、揚げ調理ほど減少率は大きくありませんが、加熱することで数%のDHA・EPAが失われます。
DHAやEPAをできるだけ多く摂りたいなら、加熱せずに刺身として新鮮な状態で食べるのがおすすめです。
ノンシュガー飲料を選ぶ
砂糖が多く入った飲料は糖質の過剰摂取で中性脂肪を増加させる可能性があるため、飲み物はノンシュガーのものを選ぶようにするとよいでしょう。コーヒーはポリフェノールが含まれており、中性脂肪を減らすためにおすすめの飲み物ですが、甘くしたい場合は砂糖を使わず、オリゴ糖で代用してみてください。
オリゴ糖は小腸で消化・吸収されにくく、エネルギー源になりにくいため、摂取しても中性脂肪の上昇につながらないといわれています。
食物繊維を意識する
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、水溶性食物繊維には食後の中性脂肪の上昇を緩やかにする作用が期待できます。日本人は食物繊維の摂取量が不足しがちといわれているため、普段の食事で食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。
食物繊維を多く含む食品は、野菜や大豆、海藻、きのこ類です。玄米にも食物繊維が多く含まれているため、中性脂肪を減らしたい場合は主食に白米よりも玄米を選んでみてください。
飲み物から摂るなら、食物繊維を含んだフルーツジュースや野菜ジュースがおすすめです。
サプリや補助食品を取り入れる
中性脂肪を減らすのに効果的な成分は食品や飲み物から摂れますが、それでも不足する分はサプリメントや補助食品を活用して摂取できます。DHA・EPAやポリフェノールなどの成分を配合したサプリメントは、さまざまな種類がラインナップされているため、ご自身に合ったものを探してみてください。
特定保健用食品には「中性脂肪または体脂肪気になる方に適する」とパッケージに表示されたものがあります。機能性表示食品にも「中性脂肪を低下させる」と表示された製品があるため、探すときの目印にしましょう。
まとめ
中性脂肪は運動不足や糖質に偏った食事などで増加しやすい一方で、生活習慣や食生活を改善すれば減らせる場合があります。飲み物にも中性脂肪を抑制する成分が含まれているものがあり、中性脂肪が気になる方におすすめです。